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かすみのスピリチュアル・ジャーニー

かすみのスピリチュアル・ジャーニー

私の燃えつき・うつの体験記

以下の文章は、私のうつの体験を書いたものです。

何年も前に、本にできたらいいな、と書き始めました。

まだ完成はしていないんですが、うつの経過や回復について、
書けている部分だけでも、ブログに載せることにしました。

読んでくださった人の心に、なにか届くものがあれば嬉しいです。

何回かに分けて、載せていきます。

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「 あなたはもっと幸せになっていい
    ~うつを越えて見えてきた新しい生き方~」



【 はじめに 】


   
「こんな人生もう嫌だ」と思ったのは、30歳の冬に肺炎にかかって
家で寝込んでいたときだった。

肺炎の治療のため、職場は二週間休まなければならなくなった。

「朝、目がさめても、もう仕事へ行かなくてもいいのだ」
そう思うと、心の底からほっとした。

咳が止まらず胸が痛み、体は苦しいのに、
気持ちはとてもリラックスしていた。

誰にも言い訳せずに休める。私は幸せだった。

そのことに気づいたとき、私は、「仕事は辞めて、新しい人生を歩もう」と
決意した。

カーテン越しに、冬の優しい朝日が差し込んでいた。

あなたは、もっと幸せになってもいいんだよと
そんな静かな声がどこからか聞こえてくるような気がした。



私は当時、精神科の心理士(カウンセラー)として、
心を病む患者さんたちを向かい合う日々を送っていた。

向かい合うといっても、私は、一対一のカウンセリングより、
みんなで、料理を作ったり、野菜を育てたりしながら、患者さんの
そばに居ることが好きな心理士だった。


その病院では、家族が高齢化したり、家族との折り合いが悪く、
病状が落ち着いても、退院できない入院患者が多かった。

そんな患者さんのために、私にいったい何ができるのか、
いつも考えていた。

患者さんがどうしたら幸せになるのか、どうしたら今日一日だけでも、
生きていてよかったと思ってもらえるのか。

吐き出すことで楽になるなら、どんなつらい話だって、聞かなくては・・・。



しかし、私は、私自身の幸せについて、真剣に考えたことはなかった。

考えてみれば、自分が生きていることが苦しくて苦しくて
たまらないのに、患者さんに生きる喜びや希望などを
伝えられるはずもなかったのだ。



この本を書こうと思ったのは、私と同じように、人を援助する仕事や
立場にありながら、心を病み、そのことを恥じて苦しんでいる人たちに、
「あなただけではない」ということを知らせたかったからである。

「これは、自分個人の問題ではなく、援助職の人の多くが抱える問題なんだ」
ということを伝えたかったからである。

適切な周囲の環境やセルフケアの機会がなければ、誰にでも
起こりうることなのである。

人の話を聞くということが、聞くだけで、傷ついたり、無力感に
陥ったりする危険な行為であるということを知ってほしい。

自分を守ることのできるのは、自分しかいないことを知ってほしい。



援助職以外にも、育児や介護、看病に疲れて、うつになった人たちにも、
読んでもらいたいと思う。

人のお世話をすることは、やってもやっても成果も見えにくいし、
答えがないため、心のエネルギーを注ぎ込んでしまい、
燃えつきやすいのである。

そういう方も、必ず回復できるということを伝えたい。



そして、いろんな事情で心病む人、生きることに迷い悩む人たちに、
自分にとって幸せな人生を歩むために、いかにして本来の自分を
取り戻していったらいいのかということについても書いてみたかった。



家族や大切な人が、うつになってしまうこともある。
そんなときどう接したらいいのか、ヒントになればとも思った。



うつを防ぐにはどうしたらいいのかということも、私の失敗談から
伝えられるものがあるかも知れない。



うつを経験した当事者として、もちろん、私個人の経験でしかないが、
うつのとき起こりうることを書いてみたいと思っている。



朝起きて「ああ、また一日が始まるのか」とか、月曜に
「一週間長いなあ」と憂鬱になる毎日。

車に乗っていても「いっそのこと事故で死んでしまいたい」と
思うような、そういう生き方とは違った生きかたがあるのだ。

うつの回復過程で、体験したこと、数多くのワークショップや研修に
参加して学んだこと、そして、自身の回復に役立ったことについて、
外に向かって発信することで、誰かの役に立てればと思う。



この本を手に取ってくれてありがとう。
最後まで、お付き合いいただければ幸いである。


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